ディープ・パープル物語 第1章:紫の衝撃、その胎動

はじめに

数々の伝説を残し、ハードロックというジャンルを定義づけたバンド、ディープ・パープル。その重厚かつドラマティックなサウンドは、半世紀以上にわたり世界中のロックファンを魅了し続けています。このブログシリーズでは、彼らが駆け抜けた激動の歴史、メンバーたちの出会いと別れ、そして音楽シーンに与えた計り知れない影響を、40回にわたって詳細に追っていきます。

今回は、その輝かしい歴史の幕開け、バンド結成前夜の物語をお届けします。

嵐の前の静けさ:才能たちの邂逅

1960年代後半、ブリティッシュ・ロックシーンは大きな変革期を迎えていました。ビートルズやローリング・ストーンズといったバンドが世界を席巻する中、よりヘヴィで実験的なサウンドを模索する動きが各地で生まれていました。

そんな時代背景の中、後のディープ・パープルの核となる二人の男が出会います。一人は、クラシック音楽の素養を持ち、ハモンドオルガンを自在に操るジョン・ロード。もう一人は、鋭いギターテクニックと強烈な個性を持つ若きギタリスト、リッチー・ブラックモアです。

ジョン・ロードは、アート・ウッズ率いるジ・アートウッズや、ザ・フラワー・ポット・メンといったバンドで活動していましたが、より自身の音楽性を追求できる新しいバンドの構想を練っていました。一方のリッチー・ブラックモアも、様々なバンドを渡り歩きながら、その才能を開花させる機会をうかがっていました。

ラウンドアバウト:前身バンドの結成

1967年、実業家のトニー・エドワーズの支援のもと、ジョン・ロードは新しいバンドのメンバー探しを開始します。そこで白羽の矢が立ったのがリッチー・ブラックモアでした。二人の音楽的志向は必ずしも一致していたわけではありませんでしたが、互いの才能を認め合い、共に活動することを決意します。

こうして、ベースにニック・シンパー、ドラムにボビー・ウッドマン(後にイアン・ペイスに交代)、そしてヴォーカルにロッド・エヴァンスを迎えた5人組のバンドが誕生します。当初、バンド名は「ラウンドアバウト (Roundabout)」と名付けられました。これは、メンバーが流動的に入れ替わる可能性を考慮したものでした。

「ディープ・パープル」誕生の瞬間

ラウンドアバウトは、デンマークでの短期ツアーなどを経て、バンドとしての結束を固めていきます。そして1968年春、彼らはバンド名を変更することを決意します。いくつかの候補が挙がる中、リッチー・ブラックモアが提案した「ディープ・パープル (Deep Purple)」が採用されました。これは、彼のお気に入りの曲(ピーター・デローズ作曲の同名曲)に由来すると言われています。

こうして、ロック史にその名を刻むことになるバンド、ディープ・パープルが正式に誕生したのです。彼らの前には、輝かしい成功と、幾多の困難が待ち受けていました。

次回予告

第2章では、記念すべきデビューアルバム『ハッシュ』の制作秘話と、アメリカでの予想外の成功、そして初代ヴォーカリスト、ロッド・エヴァンス時代のディープ・パープルに焦点を当てます。ご期待ください!

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