ディープ・パープル物語 第15章:解散、そして伝説は続く

8年間の沈黙と、新たなる胎動

1976年、ハードロックの巨星ディープ・パープルは、その8年間の輝かしい活動に終止符を打ちました。ファンはバンドの解散を惜しみ、ひとつの時代が終わったことを実感しました。しかし、ディープ・パープルという名の船は沈んでも、その船に乗っていた偉大なミュージシャンたちの航海が終わったわけではありませんでした。

彼らはそれぞれが新たなバンドを結成し、ディープ・パープルのDNAを受け継ぎながらも、独自の音楽性を追求していきます。この8年間の「沈黙」の時代は、結果的にロックシーンをより豊かにし、数々の新たな伝説を生み出す期間となったのです。

 

虹の彼方へ:リッチー・ブラックモアズ・レインボーの快進撃

ディープ・パープル脱退後、いち早く自身のバンド「レインボー」を結成していたリッチー・ブラックモアは、水を得た魚のようにその才能を爆発させます。ヴォーカリストのロニー・ジェイムス・ディオと共に、彼はディープ・パープル時代には追求しきれなかった、クラシカルで様式美にあふれた、ファンタジックなハードロックを創造しました。

1976年のアルバム『虹を翔る覇者 (Rising)』や1978年の『ロング・リヴ・ロックン・ロール (Long Live Rock 'n' Roll)』は、ハードロック史上に残る名盤として高く評価され、レインボーはディープ・パープルに匹敵するほどの人気を獲得。リッチー・ブラックモアは、ギタリストとして、そしてバンドリーダーとして、再び世界の頂点に立ちました。

 

 

白蛇の誕生:デヴィッド・カヴァデールのホワイトスネイク

マークIII、マークIVのヴォーカリストだったデヴィッド・カヴァデールは、解散後ソロ活動を経て、1978年に自身のバンド「ホワイトスネイク」を結成します。彼のブルージーでソウルフルな歌声を生かした、官能的でパワフルなブルース・ハードロックは、多くのファンを魅了しました。

特筆すべきは、後に元ディープ・パープルのジョン・ロードとイアン・ペイスが相次いで加入したことです。これにより、ホワイトスネイクは「ディープ・パープル直系のバンド」として、大きな注目を集めることになりました。

 

ジャズロックへの挑戦:イアン・ギラン・バンド

マークIIの黄金期を支えたヴォーカリスト、イアン・ギランもまた、自身のバンド「イアン・ギラン・バンド」を結成し、音楽活動を再開します。しかし、彼が選んだ道はストレートなハードロックではなく、ジャズやフュージョンの要素を大胆に取り入れた、テクニカルなジャズロックでした。

この音楽性は、ディープ・パープル時代からのファンを驚かせましたが、彼のヴォーカリストとしての新たな可能性を示すものでした。後にバンドはよりシンプルな「ギラン」へと発展し、再びハードロックシーンの第一線へと返り咲きます。

 

次回予告

第16章では、70年代後半から80年代初頭にかけて、レインボー、ホワイトスネイク、ギランがそれぞれどのように成功を収め、そして変化していったのかを詳しく追います。そして、水面下で動き出す「ディープ・パープル再結成」の噂。伝説の復活はなるのか? ご期待ください!

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