ディープ・パープル物語 第17章:奇跡の再結成と『パーフェクト・ストレンジャーズ』

1984年、ロック界が揺れた日

1984年4月、世界中のロックファンが待ち焦がれたニュースがついに発表された。「ディープ・パープル、黄金のマークIIラインナップにて再結成」。リッチー・ブラックモア、イアン・ギラン、ロジャー・グローヴァー、ジョン・ロード、そしてイアン・ペイス。ハードロックの歴史を築いた5人の天才たちが、8年間の時を経て再び集結するという知らせは、まさに奇跡であり、ロック史における一大事件でした。

リッチー・ブラックモアは商業的に大成功を収めていたレインボーを、ロジャー・グローヴァーもまたレインボーを脱退。イアン・ギランはブラック・サバスでの短い活動を終え、ジョン・ロードとイアン・ペイスもホワイトスネイクを離れるなど、各メンバーが自身の成功を一度リセットしてまで、この再結成に賭けていたのです。かつての確執を乗り越え、彼らを再び結びつけたのは、ディープ・パープルというバンドへの愛情と、ファンからの熱い期待でした。

 

『パーフェクト・ストレンジャーズ』:完璧なる他人、完璧なるバンド

再結成した彼らは、早速スタジオに入り、新作のレコーディングを開始します。世界中が注目する中、1984年10月、再結成第一弾アルバム『パーフェクト・ストレンジャーズ (Perfect Strangers)』がリリースされました。

このアルバムは、ファンの期待を遥かに上回る傑作でした。70年代の彼らが持っていたヘヴィネスやスリリングなインタープレイと、80年代の洗練されたプロダクションが見事に融合。オープニングを飾る「ノッキング・アット・ユア・バック・ドア (Knocking at Your Back Door)」のキャッチーなリフ、そして荘厳でミステリアスなタイトル曲「パーフェクト・ストレンジャーズ (Perfect Strangers)」は、彼らが全く色褪せていないことを証明していました。

リッチー・ブラックモアのギターは鋭さと深みを増し、イアン・ギランのヴォーカルも力強く、ジョン・ロードのキーボードとイアン・ペイス&ロジャー・グローヴァーのリズム隊も完璧なアンサンブルを聴かせます。アルバムは世界中で大ヒットを記録し、ディープ・パープルが単なる懐メロバンドではなく、現役のトップバンドとしてシーンに完全復帰したことを高らかに宣言しました。

 

 

伝説の復活と世界ツアー

アルバムの成功を受けて、バンドは大規模なワールドツアーを敢行します。チケットは各地でソールドアウトとなり、スタジアムを埋め尽くした新旧のファンは、伝説の復活をその目に焼き付けました。ステージ上で繰り広げられる新曲と往年の名曲の数々は、8年間のブランクを全く感じさせない、圧巻のパフォーマンスでした。

 

次回予告

第18章では、大成功を収めた再結成ツアーの様子と、その裏で再び表面化し始めるメンバー間の緊張関係、特にリッチー・ブラックモアとイアン・ギランの対立に焦点を当てます。奇跡の復活劇の先に待っていたものとは? ご期待ください!

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