グラデュアリー・ゴーイング・トルネード/ブラッフォードは「足りねーど」なの?

 

「グラデュアリー・ゴーイング・トルネード(Gradually Going Tornado)」はブラッフォード名義で発表されている4枚のアルバムの最後のアルバムです。

ちなみに、今はブラッフォードではなく、より発音に近いブルーフォードになっているようです。

ブラッフォードで慣れているのでブルーフォードに違和感を感じてしまいますけど。

 

ところで話は飛びますが、30年以上前の話になります。

 

まだ、20代前半のころはスタジオミュージシャンをはじめとして色々なミュージシャンと交流する機会がありました。

特に親しくしていただいたのがKさんというベーシストなのですが、

この方にはプログレはもちろんいろいろな音楽を聴かせていただき後の自分に大きな影響を与えてくれました。

 

Kさんは、この「グラデュアリー・ゴーイング・トルネード(Gradually Going Tornado)」というタイトルをもじって「足りねーど」と言っており評価が低いアルバムでした。

そんな印象があったので、後にCDで購入して聴いたときは、前のアルバムに比べると確かに足りないなー(足りねーど)という感想でした。

 

なぜかというとジェフ・バーリンがリードボーカルを取っておりインスト中心ではなく歌ものになっていたり、

ブラッフォードのドラムが小さいような気がしてました。

過去の3枚のアルバムがジャズロック寄りだったので、余計にボーカルが耳に入ってしまったのかもしれないです。

 

ところが最近になって改めて聴いてみたところ、まったく印象が違っていて、実はいいアルバムじゃないかと思っています。

 

個人的にはインストだけの「ワン・オヴ・ア・カインド(One of a Kind)」がベストなので、

ファースト(フィールズ・グッド・トゥ・ミー)も曲によってはボーカルが入っているのでイマイチではありますが、

このアルバムはジェフ・バーリンがリードボーカルをとっているものの過去に持っていた先入観を除いて聴いてみたら意外と良かったという印象です。

 

1曲目からいきなりジェフ・バーリンのボーカルが入ってきます。

うまいとは思いませんが味があるボーカルで何度も聴いていると良くなってくるんですよ。

 

ジェフ・バーリンのボーカルの雰囲気ですが、

どっかで聴いたことがあるなーと思ったら、

ハットフィールド・アンド・ノースに通じるものがあります。

 

考えてみたらハットフィールド・アンド・ノースのキーボードはデイブ・スチュワートでした。

曲の雰囲気が似ているのでしょう。

 

2曲目ではチェロがフィーチャーされています。

アラン・ホールズワースの後任として加入したジョン・クラーク(the unknown John Clark)のギターがホールズワースっぽくっていいです。

でも、何となく味付け的に入っている感じですけど。

 

3曲目の「Joe Frazier」はジェフ・バーリンの曲で、後のソロアルバムにも収録されていますが、このアルバムの方がいいですね。

改めて聴くとベースとピアノのユニゾンが凄いです!

やはり味付け的に入っているジョン・クラークのギターがホールズワースみたいな感じでいいです。

 

4曲目の「Q.E.D.」はジャズロックっぽい曲で、

とは言え、ギターよりもベースの方が目立ってますけど・・・

(個人的には、ベースが目立っている方が好きです)

 

5曲目の「The Sliding Floor」はジェフ・バーリンのボーカルをフィーチャーしたジャズロックという感じです。

 

6曲目「Palewell Park」はデイブ・スチュワートのピアノとジェフ・バーリンのベースが中心の曲。

静かな感じがいいです。

ドラムとギターが全く入っていませんが、クレジットを見ると以外にもビル・ブラッフォードの作曲になっているのが驚きです。

 

7曲目「Plans For J.D.」では再びジェフ・バーリンのボーカルがフィーチャーされています。

この曲を聴くとジョン・クラークのギターってホールズワースとは違うアプローチ(プレイ)なんだなーと思いました。

 

8曲目が最後の曲「Land's End」です。

アマンダ・パーソンズやバーバラ・ガスキンのボーカルがフィーチャーされています。

ちなみにバーバラ・ガスキンは後にキーボードのデイブ・スチュワートとデュオバンドを組んでます。

(来日公演を観に行きました)

 

最近知ったことですが、ビル・ブラッフォードは、このアルバムの後、再結成されたキング・クリムゾンでプレイをしています。

 

当初のメンバーには、なんとジェフ・バーリンが入っていたようなのですが、

ロバート・フリップが考えていたイメージと違うということでトニー・レビンがベースになったようです。

 

全体的にはジェフ・バーリンのベースとボーカルが目立っているアルバムだとは思いますが、

決して「足りねーど」ではないアルバムだということで皆さんにお勧めしたいです!

 

 

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