ハープやチェンバロはとても単純な楽器で。
だけどとても魅力的。
なのにちっとも普及しない。
ピアノよりもずっと魅力的なのに。
ということで。
自分でもハープ用の音楽を書こうとして、現在3曲までできています。
ハープという楽器のおもしろさと単純さ。
単純だけど、ちゃんと奏でられるというわけではない。
演奏技術獲得としてピアノほど時間を必要とするとは考えられませんけどね。
それでもやはり数年はきっちり練習を積まないと人前で演奏できるようにはならないでしょうね。
今回全弦シャーピングレバーつきのポータブルハープを入手してマジでよかったと思います。
これまでも楽器を知らずに曲を書けるものだろうか?という疑問はありましたし、先人たちも果たして実際の楽器を知らずに曲を書いていたのだろうか?とも思っていました。
たぶん歴史に残る作曲者たちでさまざまな楽器のために曲を書いている人間たちは、演奏する技術まではなくとも実際にその楽器を手に取って、どのようにして音を出すのかということは検証したんだろうなということが確信できました。
オケの曲ばかりを書いている人間は違うでしょうけどね。
その代表格、チャイコフスキは明らかに「楽器の構造とか特性なんか知ったこっちゃね~」として曲を書いているんでしょうしね。
だから。
自分はたぶん書けるとしたら、リコーダーとハープとチェンバロとピアノの曲しか書けないでしょうね。
もうこれ以上の楽器を手に入れて検証するのはムリでしょうから。
ということで。
シャーピングレバー付きのハープについて。
ペダル式のハープについては想像はできるので書こうと思えば曲も書けるでしょうが、とりあえず今自分が持っているハープでの曲を書くにあたって。
楽しい。
上記画像のような♯の付き方をする楽譜は、ハープならではと言えるんでしょうね。
シの♯、この書き方しかない曲。
普通の調号が書けない。
「シやミの♯、あるいはドやファの♭は理解ができない」という演奏家がよくいるらしいんですけどね。
頭が悪すぎるだろうとは思うのですけどね。
ハープの場合は特に面白い。
音は基本的にオクターブ内には常に7つしか音は存在しないと考えるのが良い。
もちろん臨時変位もあり得はするけど、音が汚くなる原因にしかならないんで臨時変位は極力避けた方がいいんでしょうね。
特にピアノのように「オクターブ内には12の音が存在する」という考えはハープの場合は考えない方がいい。
これがダブルアクションのペダル式の、あの大きなグランドハープの場合になればなるほど、ムリすれば変位も可能だけど、余計に「オクターブには基本的には7つの音しか存在しない」という演奏が良いんだろうと思います。
これがシャーピングレバーのついたポータブルハープになるとまた話が変わって、♭はできないけど♯を使い分けてセットしておけばオクターブごとに別の音階の組み合わせを考えることができる。
ということで。
音楽自体はとても単純なんですが。
こういう♯の組み合わせをいろいろ考えてあと1曲は作ってみます。
それから。
通常はハープは1オクターブに7音の弦があってそれで奏でるのですが。
一番原始的に近いハープはピアノで言えば白鍵だけがある状態のハープ。
それだけでも練習したりすることが退屈でないようにならないかと考えたのが今回作っているハープのエチュードシリーズの1番なんですけどね。
自分も練習はするかもしれませんけど、自分のために書いているわけではなく、こういうのがあったらいいなと思う人のために書いているんであって。
知り合いから「いつか演奏を楽しみにしてます」ってメールをもらったりして困惑しています。
人前で演奏できるような腕前になる頃には死んでますから。
音がまったく変位しない楽器で演奏する音楽はやっぱりいずれ退屈して飽きてしまうと思うのですよね。
変位音を出すために、まずは和琴のように指で抑えたりしてちょっと♯させる考え、これが西洋琴にも当然あったことで。
ただ、洋琴(ハープ)は琴柱がないから指で抑えたりすると音がミュートされて出ない。
そこで指などに嵌めて使うジャベという器具があるのでしょう。
そこで、次の画像のようにシャーピングレバーというものが現在は開発されていてそれで半音上げた音を出すことができる。
これがオーケストラで使われるハープの場合、7つのペダルが用意されていてそれぞれが「ド・レ・ミ」の各音にセットされていて、それを踏むことによって全てのド、全てのレの音が♯される。
それだけではなく、ダブルアクションペダルと言って、このシャーピングレバーの代わりにドラムと呼ばれる装置があって部分がペダルを踏むことによって回転して♯するようになっているんですけど。
ペダルはダブルアクションと言って途中まで踏む(そこでポジション維持ができるようになっています)ことで一つのドラムが回転して一つ♯し、すっかり踏むとダブル♯状態になるようにできているのですけど。
だから元々のグランドハープは半音低くチューニングして、それから全てのペダルをハーフペダル状態にして通常のハ長調の音を作り出し、演奏する曲の調によって♯させたり♭させたりすることができ、全調に対応するようになっているのです。
たぶん少しでも思考力のある人間なら誰でも思いつきますけどね。
音楽やってる人間ってそういうシステム的なことにはまったく考えが至らないらしいし。
ピアノでさえもキーアクションを取り出したりして自分の目で確認したことがないという人間がほとんどですもんね。
ポータブルタイプのハープにしても、このチューニングピンが差し込まれているアームの部分をもっと太くして。
そして各弦にシャーピングレバーを2個ずつ取り付ければ。
ダブルアクションペダルハープ同様に♭音も出せるじゃん。
ポータブルハープはそんな複雑な音構成の音楽じゃなくて、気軽にハープを楽しみたいという人間のため、あるいはハープという楽器にまずは慣れて弾けるようになりたいという人間のため、それがこの小型ハープの目的なんでしょうね。
自分が30歳若ければそういうダブルレバーのハープを作ってみるところですけどね。
あらゆる楽器の中で、誰でも作れると思うそんな原始的な楽器でしょう。
なんせギリシャ・ローマ時代から構造は変わらないのですから。
つくづくと、これまでの日本の楽器メーカーの腹黒さに腹が立ちますね。
「専門家ではない人間は楽器は作れない!」とする商法。
ピアノの弦やチューニング道具は専門家以外には売らない!とする風潮。
そんなことするから、「実はとっても簡単」な楽器製作や多種多様な楽器演奏家が育たず。
うるさくてヘタクソなだけのピアノ演奏家ばかりが増えちゃってうんざりです。
売れなくてもいいという自分の思考はやっぱり理解されないのが当たり前ですもんね。